駅前商店街の可能性を引き出す
静岡紺屋町名店街再開発計画

ケース
2021-04-01

研究の概要

背景と課題

  • 静岡県静岡市の中心市街地では、JR静岡駅前から延びる呉服町通りに沿って個人商店が集積している。駅から最寄りの位置の紺屋町名店街は、駅前直近の繁華街かつ県内唯一の地下を含んだ商店街という高いポテンシャルを持ちながらも商業空間の活発性に課題がみられる。この独自性の高い特徴を活かすような空間づくりの手法が求められている。
  • 現状では、街区の賑わいには通りに面した店舗しか貢献できず商業空間として懐が浅い。また地上には繁華街と駅前広場を直結する横断歩道はなく往来には地下道が必須だが、歩行者は駅から最も遠い出入口(K8)を利用する傾向にあるため地上の商業空間を無視した動線が形成されている。
  • 呉服町通りの沿線には、約60年前に防火建築帯として建設された共同ビルが連なっている。これらのビルは小さな間口単位で完全に独立しており、2階以上では水平移動が困難で賃貸に不向きである。また老朽化により耐震面や設備面の問題も浮上し、再開発が求められる。

建築用途と目的

  • 建築用途は、図書館を核とした商業・業務施設とする。

本敷地に最も近接した図書館は複合施設ペガサートの4、5階に位置する静岡市御幸町図書館だが、課題として、高層階のため利用者の偶然性には期待できない点や、低層階のテナント撤退が相次ぎ施設の求心力が低下している点が挙げられる。

そこで御幸町図書館の機能を本敷地に移行し、同規模の新たな図書館として展開する提案を行う。地上レベルで通りに面して歩行者空間に開かれた図書館は偶然性と利便性が高く、商業空間との相乗効果も期待される。本敷地で醸成された賑わい空間が駅方面へ次第に延伸し、最終的には駅と中心市街地の繁華街が一体となり活性化することを目的とする。

提案手法(ダイアグラム)

  • 既存の商店街では路面店しか呉服町通りの賑わいに寄与できないが、動線を複雑化することで回遊性を持たせると共に賑わいに貢献できる店舗数が増加する。敷地を取り囲んだ動線が商業空間の賑わいを敷地全体に拡充させる。
  • 上記の円弧上の動線を地下から2階までの吹抜空間と重ね、渡り廊下とも接続させることで地上と地下の連続性を担保する

成果と提案

本提案のプレゼンテーション動画、CG、模型画像、設計図面の一部を示す。詳細はこちら: 都市情報研究室ウェブサイト

  • プレゼンテーション動画
  • CG
  • 模型画像
  • 設計図面
1階平面図兼配置図
地下1階平面図
2階平面図
3階平面図
東西方面立断面図
図書館南北方面立断面図
商業棟南北方面立断面図

この記事は、下記の論文を要約したものです。

上野 諒介(2021)静岡紺屋町名店街再開発計画、2020年度筑波大学理工学群社会工学類卒業論文

後記

  • 長い製作期間の中で適切な時間管理を行い、締切に合わせて提案の着地点を探る点で苦労しました。
  • 製図にはGRAPHISOFT社のArchicad 24、レンダリングにはLumion 11を使用しています。