異分野融合/連携ゼミナール③「Data Science and Sustainability」開催レポート

ニュース
2024-01-05

2023年12月16日(土)にMDA異分野融合/連携ゼミナール「Data Science and Sustainability」を行いました(MDAセミナーとしても併催)。ソウル市立大学のSeungil Lee教授と東京大学の小林博樹教授をお招きして講演をいただき、参加者とディスカッションを行いました。当日の両氏の講演概要を以下のようにまとめましたので、是非ご一読ください。

Seungil Lee教授 講演
小林博樹教授 講演
ディスカッション
(小林博樹教授・嚴先鏞准教授)

Carbon-Neutral Urban Planning based on the Integration of Space and Activity Big Data(ソウル市立大学Seungil Lee教授)

空間と活動データの統合を通じたカーボンニュートラルな都市計画に焦点を当てて研究を行っている。研究活動の主な狙いは、ビッグデータを活用して都市計画の意思決定に情報を提供することで、都市環境におけるカーボンニュートラルを達成することである。

カーボンニュートラルを目指すためには、すべてのセクターでの排出量をゼロに減らすことが必要であるが、都市計画分野では交通と建物からの排出の削減が重要である。交通セクターでのゼロ排出を実現することは簡単ではないが、カーシェアリングや公共交通の促進がその対策である。しかし、交通に対する需要は、都市活動の分布と密接に関連しているため、都市の機能の配置などと一緒に議論することが重要である。したがって、交通、土地利用の関係についても研究を行っており、これを「都市空間構造」と呼んでいる。

カーボンニュートラルな都市計画におけるビッグデータの役割は重要であり、空間データや活動データなど、様々なデータタイプの統合が、都市エリアにおけるカーボンニュートラルな取り組みを計画し実行する上で不可欠である。

野生動物とセンサーネットワーク(東京大学小林博樹教授)

もともと動物に興味を持ち、生物学や獣医学への関心を持っていたが、最終的には情報学の分野に進むことになった。主な研究の関心は、動物と人間のコミュニケーション、特にテクノロジーを利用して異なる種とのインタラクションを可能にすることである。具体的には、センサーやコンピュータインタラクションの技術を用いて、動物の行動や生態系を理解し、保護するための方法を模索したものである。例えば、西表島での研究プロジェクトや、福島第一原子力発電所周辺での放射能の影響を調査するプロジェクトにも取り組んでいる。これらのプロジェクトでは、リアルタイムで環境音を配信し、動物や自然の現在の状況を遠隔地から監視する技術を開発した。このような技術を通じて、動物や自然とのより良い共存の方法を模索し、社会に新しい視点を提供しようとしている。このような研究活動から、生物学、情報学、環境学など複数の分野が交差する新しい分野を作ることができた。

また、研究者へのアドバイスとして以下のことを述べた。第一に、言葉にならない考えや感覚は、無理に説明しようとせず、そのままにしておくことが重要である。特に大学院生や研究者にとって、説明が難しい考えを持つことは自然なことであり、その考えを無理に言語化する必要はないと考えている。第二に、他人の期待や社会的な圧力に左右されず、自分自身の考えや感覚に忠実でいることが重要である。例えば、社会的に重要とされるテーマや短期間での成果に焦点を当てることにより、長期的な視点や深い洞察を見失うこともある。既存の教科書や理論に頼るのではなく、新しい教科書や理論を自ら作り出すことの大切である。第三に、研究者としての自立と自由が自由である。指導教員の不在という状況は自由な発想を促し、自立した研究を行う機会を与えた。研究者は、調子が悪い時にこそ、自分の考えや感覚に耳を傾けることが重要である。