【2020年度6班】withコロナ時代と部活・サークル/1年生問題 ~交流の場はどうなる?~

演習/連携
2021-02-04

課題

背景

新型コロナウイルスにより、大学生にも様々な影響が及んだ。

部活動やサークルの多くが対面での活動を禁止され、活動の休止、またはオンラインでの活動を余儀なくされた。

例年4月〜5月の入学直後に行われる新歓も今年は中止となってしまい、部員の確保に苦しんでいる団体も多くあると考えられる。よって、部活動やサークルに所属できず、また、春学期はほとんどの大学でオンライン授業が行われたことにより、交友関係が広がらない1年生は例年よりもかなり多いと思われる。

そこで、部活・サークルに対して、大学側はどのような対策をとってきたのだろうかと私たちは考えた。

筑波大学の状況

茨城県でも緊急事態宣言が発令された4月頃、筑波大学では課外活動の全面禁止、さらには敷地内の立ち入り禁止要請が出され、それらが9月末まで継続された。

10月に部活サークルを再開する許可が降りたが、感染防止対策、健康管理、3密回避が必要とされた。

11月後半の感染拡大により茨城県が出した外出自粛要請に伴い、一部の活動禁止などが一時的に追加された。しかし、この項目は県の外出自粛要請の解除とともに無くなった。

他大学の状況

施設の利用可否

文部科学省の調査から、全国の大学の対応を見ることができる。

上のグラフは施設の利用可否の状況である。後期から、多くの大学で一部利用可能を含め施設利用が可能となる予定であった。全面的に利用可能とする学校は3割程度で、一部を制限して利用を可能とする学校が多く見られる。

近隣の国立大の対応
茨城大学千葉大学東京大学筑波大学
課外活動禁止期間4/14~7/92/28~8/63/26~8/14/9~
学内施設の利用開始10/19~10/1~8/6~10/1~
活動再開条件10/12~15に開催された「新型コロナウイルス感染症感染防止対策研修会」に参加、対策に取り組むこと感染予防策を踏まえた「活動再開計画書」を大学が審査、基準を満たしていると判断されること特になし「団体活動開始届」を提出すること、感染防止対策・健康管理・三密回避に努めること

近隣の国立大学3校と比較してみると、その期間に相違はあるものの、いずれの大学でも感染防止のために部活・サークルによる活動禁止という対応が取られていたことがわかる。

課題

筑波大学や近隣の大学の対応を踏まえて我々は課題として、以下の項目を考えた

  • 部活・サークルの対面活動できているのか
  • オンライン活動に意味はあるのか
  • 1年生の入部・入会状況に例年との差はあるか
  • 1年生は学内での友人・先輩等との交流が十分にできているのか
  • コロナ禍でSNSの利用が増えたのではないか

こうした課題に対し、部活・サークルと1年生の動向への提言ができるように調査を進めた

データ

アンケート調査

上述の課題に対して提案を行うため、筑波大学の部活・サークルのコロナ禍での活動実態と1,2年生の部活・サークルに対する意識を把握するアンケート調査を実施することにした。

部活・サークルに対して行うアンケート調査では主に次の3点について質問した。

  • 現在対面活動を行っているのか
  • コロナ禍でどのように活動が変化しているか
  • 10月より前と10月以降の活動形態と1年生との交流度合い

1、2年生に対して行うアンケート調査では主に次の2点について質問した

  • 部活・サークルに入っているか
  • 交流度合いと活動満足度

部活・サークルに対するアンケートの概要

部活・サークルに対するアンケートの概要は以下の通りである

調査名部活サークル活動の現状と1年生の動向の把握
調査目的コロナ禍における部活サークル活動の実態の把握
配布・回収方法各部活・サークルに直接メールで代表者にアンケートを送付
実施期間2020年 11/23~12/3
回収部数40部

1、2年生に対するアンケートの概要

1年生に対するアンケートの概要は以下の通りである

調査名筑波大学の1年生への部活・サークルに対する意識調査
調査目的コロナ禍における部活・サークル活動が1年生にとってどのような立ち位置であるか明らかにする
配布・回収方法筑波大学の一年生にSNSでアンケートを送付する
実施期間2020年 11/30〜12/7
回収部数99部

2年生に対するアンケートの概要は以下の通りである

調査名筑波大学の2年生への部活・サークルに対する意識調査
調査目的コロナ禍における部活・サークル活動が2年生にとってどのような立ち位置であるか明らかにする
配布・回収方法筑波大学の2年生にSNSでアンケートを送付する
実施期間2020年 12/4~12/7
回収部数65部

分析

部活・サークルに関する分析の概要

各部活・サークルが現在どのように活動しているのかと1年生の交流の程度の関係を次の二つの方法で分析する。

  • 各部活・サークルの活動形態とその部活・サークルが1年生とどの程度交流できているかをクロス集計
  • 1年生の加入している部活・サークルの活動形態とその1年生がどの程度交流できているかをクロス集計

1年生に関する分析の概要

1年生が先輩や同級生とどの程度交流できているかとその1年生が加入している部活・サークルでの活動満足度の関係を次の二つの方法で分析する。

  • 1年生が先輩とどの程度交流できているかと活動満足度をクロス集計
  • 1年生が同級生とどの程度交流できているかと活動満足度をクロス集計

1年生がどのようなことを部活サークルに求めているのかを次の方法で分析する。

  • 1年生の加入している部活・サークルの活動形態と活動満足度の関係をクロス集計

結果

部活・サークルに関する分析の結果

上のグラフは各部活・サークルが現在どのように活動しているのかと、1年生とどの程度交流できているかを掛け合わせたグラフである。

現在でも対面活動をしていない団体は、1年生とうまく交流できていない傾向がある。

また、対面活動を始めた後も、オンライン活動を続けている団体があることがわかる。

対面の活動のみに力を入れている団体は、現在一年生との交流ができている。

上のグラフは1年生のアンケート結果から活動形態と交流度合いの関係をグラフにしたものである。

カイ二乗検定より対面での活動とオンラインでの活動といった活動形態と交流度合いに関係はないことが分かった

1年生に関する分析の結果

下の表は1年生が先輩とどの程度交流できているかとその1年生の加入している部活・サークルでの活動満足度のクロス集計表である。

また、下の表は1年生とその同級生がどの程度交流できているかと其の1年生の加入している部活・サークルでの活動満足度のクロス集計表である。

実際に2つの表のうち上の方に関してカイ二乗検定を行うと、1年生と同級生との交流と活動満足度に関係があることが分かった。

(自由度4、χ2=32.78)

同様に下の方の表に関してカイ二乗検定を行うと、1年生と先輩との交流と活動満足度に関係があることが分かった。

(自由度4、χ2=21.84)

以上のことから、先輩や同級生との交流が増えるほど1年生の部活・サークルでの活動満足度は高いといえる。

上のグラフは1年生の加入している部活・サークルの活動形態と1年生の活動満足度の関係を表している。

ここからカイ二乗検定を行うと、それぞれの活動形態とおける1年生の活動満足度に関係はないことが分かった。

(自由度4、χ2=0.156)

したがって、所属する部活サークルの活動形態に関して1年生は問題視していないといえる。

提言

これまでのアンケート結果の分析とその考察から部活・サークルと1年生に対して提案を行う。

部活・サークルへの提案

「部活・サークルは今までの活動内容にとらわれず、継続的に活動をするのが良いのではないか」

提案に至った背景

今年度の1年生は「どのような形で活動をするか」ではなく、「人と関わること」を求めていると分かった。

→継続的な活動を行うことで交流の場の創出につながると考えた。

また、今まで通りの活動だと行えない団体もあると想定されるので、今までの活動に縛られない、「多様な活動」が求められる

今年度は新歓を行う時期が団体によってバラバラであったため、加入する意思はあるものの、入る時期が分からず加入していない1年生が多くいると分かった。そのような1年生と部活・サークルを結びつけるために、部活・サークルには1年を通した定期的な新歓を推奨する。例えば月に1回程度体験会を行うなどである。1年生側は交流の場が増えるとともに、途中から団体に加入することに抵抗感を感じづらくなると考えられる。サークル側は、先ほど提案した継続的な活動につながり、交流の場が創出できるとともに、部員の確保もしやすくなると考えられる。

1年生への提案

「複数のサークルを掛け持ちするのが良いのではないか」

提案に至った背景

部活・サークルの結果の分析より、対面活動とオンライン活動で1年生との交流度合いは変わらないことが分かった。

また、1年生の分析より、対面活動とオンライン活動で活動満足度に大きな差はないことが分かった。

これらを総合し、複数のサークルを掛け持ちすれば1年生は交流を増やせると考えたのである。

具体的な参加方法として、次の2つがあげられる

  1. 「活動形態に分けて様々な部活・サークルに所属する」
    メリット: 片方の団体に、活動形態の変化があっても、もう一つの団体が活動していれば、交流の場を維持できる
    デメリット: それぞれの活動への参加が中途半端となり、それぞれの団体への帰属意識が低くなる可能性がある
  2. 「オンラインを主体とするサークルを選ぶ」
    メリット: 感染状況に左右されない
    デメリット: 活動においてできることが限られてしまう点やオンライン活動のみを行っている団体が限られるという点が懸念される

今後感染状況はまだまだ未知数なところがあるが、部活・サークル側は臨機応変な対応が求められるとともに、大学側とも連携して、よりよい部活動・サークル活動を行える体制を整えることが重要である。

レファレンス

文部科学省 大学における後期等の授業の実施方針等に関する調査結果 p17 2020年9月15日

茨城大学 10/19から学内での課外活動を再開ー研修会で感染症対策の課題をシェアーhttps://www.ibaraki.ac.jp/news/2020/10/16010987.html

茨城大学 新型コロナウイルス感染症に係る本学の取り組みhttps://www.ibaraki.ac.jp/generalinfo/covid19/measures/index.html

千葉大学 ニュース・イベント情報
https://www.chiba-u.ac.jp/others/topics/2020covid-19/post_13.html

東京大学 新型コロナウイルス感染症に関連する対応について
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/general/COVID-19.html

筑波大学ウェブサイト
http://www.tsukuba.ac.jp/about/antidisaster/covid-19-list.html