【2022年度7班】渋滞するのかい?しないのかい?どっちなんだい?!

演習/連携
2023-02-10

背景

私たちの生活において渋滞は、ストレスの原因や時間損失、環境汚染といった身近な問題になっている。筑波大学周辺でも複数個所で通勤・通学時に渋滞は発生している。その中でも、私たちは松見口交差点の渋滞に着目した。松見口交差点は筑波大学循環バスの右回り、左回りのどちらも通ること、メインキャンパスの最も南側の入り口であるためつくば駅を利用する人が集中すること、筑波大学職員と大学病院職員が多く利用することの3点から松見口は筑波大学にとって重要な入口であると考えた。また、周辺に筑波大学病院やつくばメディカル病院があるため渋滞が発生することによって救急車が通れないなどの危険性もある。 なお、ここで言う渋滞とは、交通容量上のボトルネックにその地点の交通容量を超える交通需要が流入しようとする時に、ボトルネックを先頭にしてその上流区間に生じる車両列(渋滞車列)における交通状態(待ち行列)のこという。

目的

 快適な通勤・通学と周辺病院の安全につながると考えられる松見口交差点の渋滞状況を把握し、解消する方法を提案すること。

データ

①現地調査
実際の交通状況を把握するために、以下の日時に対象交差点のビデオカメラによる定点観測と自動車で大学通りを走行し、交通容量と交通需要を調査した。
・2022/10/19 (水)午前7時30分頃~午前9時頃
・2022/10/20 (木)午前7時30分頃~午前9時頃

②バスプローブデータ
関鉄バスの進んでいる方角、速度、座標が6秒ごとに記録されたもので、車体番号、日時とともにまとめられている。
・2021年10月(オンライン授業中心)
・2022年10月(対面授業中心)
を比較する。

分析

①渋滞の全体像把握
現地調査により得られたデータから累積図を作成し、
・流入台数
・総遅れ時間
・渋滞による経済損失
を分析する。

②バスプローブデータ分析
バスプローブデータをpythonを用いて抽出し、
・渋滞の有無
・総遅れ時間
・年次や曜日ごとの傾向
を分析する。

③シミュレーション
aimusun.nextというシミュレーターで渋滞がより顕著に表れていた2日目のデータを用いて分析を行う。シミュレーションで現状を再現し、実際の渋滞と比較すると渋滞の長さは実際のものとほぼ一致する結果が得られた。また、シミュレーションの結果から算出された遅れ時間と、我々が累積図を用いて計算した遅れ時間が1台あたり平均約3.5分で一致したことからシミュレーションは正確であるといえる。
このシミュレーションを用いて以下に挙げられる提案内容を評価した。

結果

①渋滞の全体像把握
・累積図から流入曲線と流出曲線の間に空間が生じていることから渋滞が発生していることが読み取れる。
・流入台数の分析結果から10分間で20台分の流入を減らすことが出来れば理論上渋滞が解消させられる。
・たった1時間程度の渋滞から1日目は約13時間、2日目は約13時間半の総遅れが生じている。
・バス1台に30人、乗用車1台に1人と仮定すると一人あたりの損失時間は2倍に増加する。
・1人1時間あたりの時間価値を2000円とすると週5日、1か月(4週間)で100万円以上の経済損失が生まれる。
ということが分かった。

②バスプローブデータ分析
・1時間程度の渋滞が20時間程度の総遅れを発生させる。
・2021年も2022年も渋滞の規模感は変わらない。
・平日のみ渋滞が発生する。
ということが分かった。

*松見口交差点の信号秒数は朝と昼で異なる。昼ではサイクルが90秒から80秒になっており、歩行者用信号は4秒減少していた。この中で私たちは歩行者用信号に着目した。観察した交差点の様子から朝でも昼と同じ時間で問題ないと考えた。そこで、朝の時間帯においてはサイクル長を変えず、歩行者用信号の青時間を4秒減らし、南北方向の青時間を4秒増やすという策を提案する。

③シミュレーション
・歩行者用信号の時間のみを4秒減らしたシミュレーションの結果、渋滞の列半分程度短くなった。

・需要だけを20台減らした結果、信号時間を変更したときほど効果は見られなかった。 
・車両用信号の秒数を4秒増やし、歩行者用信号を4秒減らし、需要を20台減らすという提案をシミュレー   ションの結果、渋滞の列の長さはおよそ3分の1となった。 
・シミュレーションから算出される一台当たりの平均遅れ時間も約3.54分から約1.06分に改善した。 

対策を講じる前後で比較してみると、総遅れ時間は10時間程度、経済損失は3,5000円程度減少している。数値的に見ても明らかに渋滞が減少していることが分かる。

提言

結果より、歩行者用信号をー4秒南北方向を+4秒とし、需要を20台減少させることを提案する。

需要量(流入量)の変更するために
こちらでは(1)迂回ルート(2)駐車場管理(3)時差出勤を提案する。
(1)迂回ルートは大学通りからつくば看護専門学校を左折して隣の道に入り、大学病院前交差点を右折して元の道に戻るルート。整備された歩道もあるため歩行者も安全に通行することが出来る。
(2)駐車場管理では医学ゲート駐車場と筑波メディカル第3駐車場に着目した。医学ゲート駐車場は筑波技術大学正面付近に出入り口を設けることで対象交差点を通らずに駐車場へ行くことが可能になる。筑波メディカル第3駐車場においては入り口を西側に増やす。
(3)時差出勤では対象交差点の主な利用者である大学職員の就業時間を分散させることで渋滞を解消させる。

レファレンス

[1]国土交通省. “渋滞がおこる要因としてどのようなものがありますか?”BCC news. Eco-motoring ‘can reduce carbon’. (参照2022-11-02)

[2]国土交通省. 「社会資本整備審議会 道路分科会 国土幹線道路部会 高速道路を中心とした「道路を賢く使う取組」の基本方針」. (参照2022-11-02)

[3]国立環境研究所 地球環境研究センター. 地球環境研究センターニュース. (参照2022-11-02)

 [4] 国土交通省. 2008. (https://www.mlit.go.jp/road/soudan/soudan_08b_19.html). (参照2022-11-02)

[5]両立支援のための制度一覧(休暇,労働時間,休業編) | 広島大学 (hiroshima-u.ac.jp)(参照2023-01-05)

[6]国立大学法人東京医科歯科大学職員の労働時間、休暇等に関する規則(案) (tmd.ac.jp)(参照2023-01-05)

[7]国立大学法人北海道大学職員労働時間、休憩、休日及び休暇規程 (hokudai.ac.jp)(参照2023-01-05)

[8]国立大学法人東京外国語大学職員勤務時間、休暇等に関する規定(<5461726F2D824F8253817C824F82518D9197A791E58A779640906C938C8B9E8A4F8D918CEA91E58A77904588F58BCE96B18E9E8AD481418B7889C9939982C98AD682B782E98B4B92F62E6A7464> (tufs.ac.jp))(参照2023-01-05)

[9]つくばセンター~大学行きバスのラッシュ時における不確実性の要因と改善策の提案https://www.risk.tsukuba.ac.jp/pdf/group-work2015/report/2015_group_05_final(参照2023-01-05)